Z技、徹底解説リファレンス
Z技は第7世代サン・ムーンで、1試合1回限りの切り札として登場した。技のタイプと一致するZクリスタルを持たせれば、その技は任意のタイミングでZ技に変換される。威力が上がり、ほとんどの補正を無視し、変化技ならZエフェクトを発動する。第7世代のメカニクスとして、環境を防御寄りから攻撃寄りへと一変させた。
世代
第7世代のみ(SM、USUM)
試合あたりの上限
チームにつき1試合1回
Zクリスタル
属性18種+専用17種=合計35種
発動コスト
持ち物スロット(Zクリスタル)
Z技は、メガシンカの希少性に対する回答だった。メガシンカが48体の特定ポケモンだけに恩恵を与えたのに対し、Z技は普遍的で、どんなポケモンでも持つことができた。コストは持ち物スロットだったが、見返りは必要なときに確実に撃てる切り札だった。
概要
Z技は、対応するZクリスタルを持たせることで発動する、1試合1回限りの技。ポケモンの既存の技(Zクリスタルとタイプが一致するもの)は、威力の上がったZ技に変換される。変化技の場合、ダメージの代わりにZエフェクト(通常は能力アップ)が発動する。
- 稼働世代第7世代のみ、サン・ムーン(2016年)とUSUM(2017年)
- 試合あたりの上限チームにつき1回。Zクリスタルを持ったポケモンが発動する。
- 持ち物スロットZクリスタルが占有するため、こだわり系道具、いのちのたまなどとは併用不可。
- 普遍性どんなポケモンも、適切なZクリスタル+一致タイプの技があればZ技を使える
- まもるを貫通Z技はほとんどの防御技を貫通する(一部例外あり)
- 無効化は貫通しないタイプ無効は依然として有効(ノーマルZでゴーストに撃っても無効、Z技であってもダメージなし)
- 廃止時期第8世代以降。ソード・シールド、SV、それ以降の作品ではZクリスタルもZ技も存在しない
Z技の仕組み
ポケモンは一致タイプのZクリスタルを持つ必要がある。Zクリスタルのタイプと一致する技を選択すると、それをZ技に変換するかどうか選べる(そのターンの技を置き換える)。
メカニクス的に
- 発動:一致するZクリスタルを持ち、かつ一致タイプの技を覚えていることが必要。
- トリガー:技選択時に「Z」(Showdown/公式ゲーム)を選んで技を変換する。
- 1試合1回限り:チームあたり1試合につき1回だけ。Zクリスタルは設定上は壊れたり消費されたりしないが、メカニクス上は1回しか発動できない。
- 威力変換:Z技の威力は元の技の威力をもとに、公開されているテーブルから決定される(次のセクション参照)。
- タイプ:Zクリスタルのタイプと一致する。タイプ一致補正は使い手のタイプに基づいて通常通り適用される。
- アニメーション:おおむね6秒のアニメーション(Showdownではスキップ可能)。オフラインゲームでは演出シーンとなり、追加の見せ場になる。
Z技が貫通するもの/しないもの
Z技が突破するもの
まもる/みきり
ほとんどの攻撃Z技は貫通する(「まもる貫通」と呼ばれる)
みがわり
Z技はみがわりを一撃で壊し、そのままフルダメージを与える
ござのまい
ほとんどのZ技はござのまいを突破する(一部例外あり)
ダメージ補正
一部の補正は貫通するが、すべてではない
Z技も依然として影響を受けるもの
タイプ無効
ノーマルZをゴーストに撃ってもダメージなし
ふしぎなまもり
効果抜群のZ技のみ貫通する
ばけのかわ/アイスフェイス
ばけのかわは初撃をブロックし、アイスフェイスは通常通り剥がれる
急所と乱数
Z技も他の技と同様にダメージを与え、乱数と急所が適用される
威力変換テーブル
Z技の威力は、公開されたテーブルに従って元の技の威力に依存する。威力の高い技は、それに比例して威力の高いZ技になる。
標準威力テーブル
| 元の威力 | Z技の威力 |
|---|---|
| 1-55 | 100 |
| 56-65 | 120 |
| 66-75 | 140 |
| 76-85 | 160 |
| 86-95 | 175 |
| 96-100 | 180 |
| 101-110 | 185 |
| 111-125 | 190 |
| 126-130 | 195 |
| 131+ | 200 |
特殊ケースの威力
- 連続技(タネマシンガン、ミサイルばりなど):威力テーブルは1ヒットあたりの威力を使い、合計威力ではない。Bullet Seed(25威力×5ヒット)→ ブルームシャインエクストラ100威力、連続ヒットではない。
- 可変威力技(ジャイロボール、ヘビーボンバーなど):威力を計算した上で、テーブルが適用される。ジャイロボール100威力→Z技180威力。
- Hidden Power:HPのタイプに関係なく常に60威力扱い→Zめざめるパワーは175威力。
- Mega Drain:75威力→140威力ブルームシャインエクストラ(Z版ではHP回復なし)。
- 一撃必殺技(ぜったいれいど、じわれ、ハサミギロチン、つのドリル):Z技化不可。
- 複数ターン技(ソーラービーム、ジオコントロール、ゴッドバード):Z版は1ターンで完結する。
- カウンター/ミラーコート:Z技化不可。
Zエフェクト(変化技)
ポケモンが一致タイプのZクリスタルを持って、そのタイプの変化技を使った場合、ダメージは発生しない。代わりにZ技はZエフェクト(通常は能力アップ)を発動する。これは積み技を圧縮したターンに変える。積みと能力アップを1アクションで同時に行えるのだ。
技タイプ別Zエフェクト
| タイプ | Zエフェクト |
|---|---|
| Normal | こうげき+1 |
| Fire | とくこう+1 |
| Water | 能力低下をすべて0にリセット |
| Electric | すばやさ+1 |
| Grass | ぼうぎょ+1 |
| Ice | とくぼう+1 |
| Fighting | HPを全回復 |
| Poison | ぼうぎょ+1 |
| Ground | とくぼう+1 |
| Flying | かいひ+1(注:かいひはほとんどの対戦フォーマットで禁止) |
| Psychic | 全能力+1 |
| Bug | とくぼう+1 |
| Rock | ぼうぎょ+1 |
| Ghost | とくこう+1 |
| Dragon | こうげき+とくぼう+1 |
| Dark | こうげき+1 |
| Steel | ぼうぎょ+1 |
| Fairy | とくぼう+1 |
In practice
専用Z技
8体のポケモンが専用Z技を持つ。特定のポケモンと特定の技に紐付けられたZクリスタルで、同タイプの汎用Z技より威力が高い。
| ポケモン | 専用Z技 | ステータス | Zクリスタル |
|---|---|---|---|
| Raichu-Alola | Stoked Sparksurfer | でんきタイプ175威力、相手をまひ状態にする | |
| Snorlax | Pulverizing Pancake | ノーマルタイプ210威力、カビゴン専用 | |
| Mew | Genesis Supernova | エスパータイプ185威力+サイコフィールドを展開 | |
| Pikachu | Catastropika | でんきタイプ210威力(ピカチュウ専用、キャップ違いは不可) | |
| Eevee | Extreme Evoboost | 変化技:全能力+2。ゲーム最強の積みZ。 | |
| Decidueye | Sinister Arrow Raid | ゴーストタイプ180威力、ジュナイパー専用 | |
| Incineroar | Malicious Moonsault | あくタイプ180威力、ガオガエン専用 | |
| Primarina | Oceanic Operetta | みずタイプ195威力、アシレーヌ専用 | |
| Kommo-o | Clangorous Soulblaze | ドラゴンタイプ185威力+全能力+1 | |
| Lunala | Menacing Moonraze Maelstrom | ゴーストタイプ200威力、ルナアーラ専用 | |
| Solgaleo | Searing Sunraze Smash | はがねタイプ200威力、相手の特性を無視 | |
| Necrozma-Dusk-Mane | Searing Sunraze Smash | ソルガレオと同じ(融合形態) | |
| Necrozma-Dawn-Wings | Menacing Moonraze Maelstrom | ルナアーラと同じ(融合形態) | |
| Necrozma-Ultra | Light That Burns the Sky | エスパータイプ200威力、こうげき/とくこうの混合を使用 | |
| Marshadow | Soul-Stealing 7-Star Strike | かくとうタイプ195威力 | |
| Lycanroc | Splintered Stormshards | いわタイプ190威力+フィールドを消す |
Worth knowing
Zクリスタル
属性Zクリスタル18種(タイプにつき1個)+専用Zクリスタル17種=第7世代を通して合計35種のZクリスタル。
属性Zクリスタル18種
ノーマルZ、ホノオZ、ミズZ、デンキZ、クサZ、コオリZ、カクトウZ、ドクZ、ジメンZ、ヒコウZ、エスパーZ、ムシZ、イワZ、ゴーストZ、ドラゴンZ、アクZ、ハガネZ、フェアリーZ。すべて普遍的で、一致タイプの技を持つどんなポケモンでも使える。
専用Zクリスタル(特定ポケモン限定)
アロライZ、カビゴンZ、ミュウZ、ピカチュウZ、イーブイZ、ジュナイパーZ、ガオガエンZ、アシレーヌZ、ジャラランガZ、カプZ(カプ系)、ルナアーラZ、ソルガレオZ、ウルトラネクロZ、マーシャドーZ、ルガルガンZ、ミミッキュZ、サトピカZ(キャップ違いピカチュウ)。
対戦環境への影響
Z技は第7世代を、防御寄りの第6世代OUから、より攻撃寄りの環境へとシフトさせた。1試合1回限りの切り札が常在する脅威となり、チーム編成では「Zを耐えるか」が常にマッチアップに織り込まれるようになった。
戦略的影響
- 受けポケモンが咎められやすくなる:ドヒドイデ/エアームド/マンタインなどが、Z技によって1~2発で落とされる可能性がある。ハザード設置を慎重にする必要が出てくる。
- 受け重視構築の実現性低下:Zが常在する以上、受け重視チームは追加のZ対策が必要となり、構築リソースを圧迫する。
- サブウェポンが脅威となる:ポケモンがZめざめるパワーで特定の相手を吹き飛ばせる(例:Zめざめるパワー(ほのお)でナットレイを破壊するジバコイル)。
- 積み技がZエフェクト化:Zねごとは全能力+1(ランダム効果)。Zじこさいせいはこうげき+1と回復を両立。「Z技」と「Zエフェクト」の境界がチーム編成を曖昧にした。
- 持ち物の枠:Zクリスタルの枠は、こだわり系道具、いのちのたま、ハザード対策道具を全て排除する。1体のポケモンの持ち物を完全に占有する。
禁止指定なし
Smogonは一度もZ技そのものを禁止しなかった。特定のポケモン(メガミュウツー、メガレックウザなど)は既により上位のティアにいた。Z技自体は第7世代を通してOUで合法のままだった。
象徴的なZ技使い
一部のポケモンは、Z技で環境を破壊したり、自身のスイープのお膳立てを作ったやり方で、特に記憶に残っている。
| ポケモン | よく使われるZ技 | 理由 |
|---|---|---|
| Pheromosa | Zビーストブースト連発 | スピード+こうげきの壁破壊役で、Z技から別のKOへ繋げて試合をひっくり返した。 |
| Ash-Greninja | Zハイドロポンプ | きずなへんげ+Zハイドロポンプ=耐久型みずタイプを満タンから一撃で落とす。 |
| Kartana | Zせいなるつるぎ | こうげき176+ビーストブースト:Z技で壁を落とし、その後複数KOへとスノーボールする。 |
| Heatran | Zソーラービーム | ためターンを飛ばし、ロトム(ウォッシュ)を一撃で落とす。第7世代ヒードランを象徴する型。 |
| Magnezone | Zめざめるパワー(ほのお) | ナットレイ/エアームドが落ちる。じりょくでトラップしてから一撃で潰す。 |
| Toxapex | Zじこさいせい | こうげき+1+全回復。象徴的な耐久型。 |
| Tapu Lele | Zハイパーボイス/Zサイコキネシス | 既に強かった技がZ技でブレイクスルー性を獲得した。チーム1個のZクリスタル制限が選択を迫った。 |
相手のZ技を見るまでゲームには勝ってない。試合前の偵察ではいつも、誰がZを持っているのかが問われる。
第8世代での廃止
Z技はメガシンカと共に、第8世代(ソード・シールド、2019年11月)の冒頭で引退した。Zクリスタルは第8世代以降では機能しない。このメカニクスはSM/USUMと、ポケモンバンク時代のカタログ上にしか存在しない。
Z技が廃止された理由
- ダイマックスへの置き換え:ゲームフリークは第8世代の新たな1試合1回限りメカニクスとしてダイマックスを選んだ。仕組み(HP倍化+3ターン)は異なるが、役割は同じ。
- 持ち物バランス:Zクリスタルは持ち物スロットを縛っていた。ゲームフリークは第8世代で、持ち物縛りのないダイマックスへ移行した。
- アニメーション:Z技の演出シーンは賛否両論を呼ぶ要素となった。評価する人もいたが、長いアニメーションを嫌う人もいた。
Z技復活の可能性
ZクリスタルはポケモンHOMEではカタログ上の道具として表示されるが、第8/9世代の対戦ではZ技を有効化しない。ポケモンGOもZ技を採用していない。2026年4月時点で、Z技は第7世代に世代固定されており、戻ってくる道はない。
よくある誤解
- 「Z技はタイプ無効を貫通する」、誤り。タイプ無効は依然として有効。ノーマルZをゴーストに撃ってもダメージなし、それだけだ。
- 「Z技は複数回使える」、誤り。チームあたり1試合1回限りで、ポケモンあたり1回ではない。
- 「Zクリスタルは使用後に壊れる」、誤り。Zクリスタルは持ったまま残る。再使用を防ぐのはチームレベルの「1回」フラグだ。
- 「Z技の威力は元の2倍」、誤り。威力は乗算ではなく、固定テーブルで決まる。50威力の技は100威力のZ技になる(×2)。130威力の技は195威力のZ技になる(×1.5)。元の威力が高い技ほど、比率的なブーストは小さい。
- 「Zエフェクトはランダム」、誤り。変化技に対するZエフェクトは技のタイプに基づいて確定的に決まる。Zねごとは唯一ランダムに選ぶZ技だ(ねごと自体がランダムだから)。
- 「Z技はみがわりを貫通する」、部分的に正しい。Z技はみがわりを一撃で壊し、そのままフルダメージをポケモンに与える。これは独特だ。ほとんどの技はみがわりにダメージを与えて止まるか、壊すだけでそれ以上ダメージを与えない。
- 「Zクリスタルはトリックや交換で相手に渡せる」、誤り。Zクリスタルはメガストーン同様、道具を奪う技から保護されている。
次に読むべきもの
Z技は世代固定だが、第7世代OUとVGCに与えた影響は土台となっている。完全な文脈は時代別ガイドで読もう。
- 第7世代、第7世代サン・ムーン時代でZ技環境の完全な歴史が読める。
- 第7世代OU、第7世代OUフォーマットガイドでフォーマット特有の禁止リストとアーキタイプが分かる。
- メガシンカ、メガシンカ徹底解説で第6世代の並行する1試合1回限りメカニクスが学べる。
- ダイマックス(第8世代の後継)、ダイマックス徹底解説で第8世代の代替メカニクスが分かる。
- ダメージ計算式、ダメージ計算式でZ技の威力がダメージ計算にどう組み込まれるかが分かる。
- 用語集、上で使われた用語はすべて対戦用語集で定義されている。