ポケモンダメージ計算式、完全計算リファレンス
ダメージ計算式は、すべての攻撃がどう処理されるかを決める。威力と攻撃ステータスから、タイプ一致、タイプ相性、天候、特性、持ち物、急所、範囲、そしてランダムなダメージ乱数まで。このページは正典のリファレンス。
基本計算式
Gen 5+標準
乱数の幅
85% – 100%
STAB
1.5倍 / 2倍(てきおうりょく)
急所ダメージ
1.5倍(Gen 6+)
すべてのポケモンバトルはこの方程式で処理される。補正と適用順を暗記すれば、計算機と同じ精度でダメージを事前に予測できる。
概要
ダメージ計算式はGen 5以降ほぼ安定しており、genを跨いだ変更も数値の微調整のみ。構造的な形(ベースダメージ→補正の連鎖)は一貫している。
各補正は固定の順序で適用される。/calculator にあるPokékipeのダメージ計算機は正典の@smogon/calcエンジンを使う。このページはその裏にある計算式を文書化している。
- 計算式の種類Gen 5以降標準。Gen 6(急所ダメージ)とGen 7(急所率)で微修正
- ベース要素レベル、威力、攻撃ステータス、防御ステータス
- 補正STAB、タイプ相性、天候、特性、持ち物、リフレクター系、急所、範囲、乱数
- 乱数の幅85% – 100%含む(16通りの値)
- 急所ダメージ1.5倍(Gen 6+)。Gen 1〜5では2倍
- 急所率(基本)Gen 7+から1/24。Gen 2〜6では1/16
計算式
ポケモンダメージ計算式の標準形。各補正は、レベル・威力・攻撃/防御ステータスから算出されるベースダメージの上に適用される。
ベースダメージ
⌊ ( ⌊ ( ( 2 × Level ÷ 5 ) + 2 ) × Base Power × ( Attack ÷ Defense ) ÷ 50 ⌋ + 2 ) ⌋ここで:
- Level、攻撃側のレベル(標準的な大会では50、一部のレガシーフォーマットでは100、リトルカップでは5)。
- Base Power、技の威力(例:れいとうビームは80)。
- Attack、攻撃側のAttackステータス(物理技)またはSpecial Attackステータス(特殊技)。
- Defense、防御側のDefenseステータス(物理技)またはSpecial Defenseステータス(特殊技)。
- ⌊x⌋、床関数(整数に切り下げ)。
最終ダメージ
Base damage × Targets × Weather × Crit × Roll × STAB × Type × Burn × Other各補正は順次適用され、各ステップで結果は整数に切り下げられる。エンジンの正確な処理順は決定的で、ランダム性は乱数補正(および急所判定)のみ。
順序が重要
全ダメージ補正
ダメージ計算式の各倍率は、ゲーム内の実際のメカニクスに対応する。下の表は標準的な補正をすべてカバーする。これに当てはまらないものはエッジケースか、特定の特性固有の補正。
| 補正 | 値 | 発動条件 |
|---|---|---|
| STAB(Same-Type Attack Bonus) | × 1.5 | 技のタイプが攻撃側のタイプと一致 |
| てきおうりょく付きSTAB | × 2 | てきおうりょく特性+タイプ一致 |
| テラスタル後のSTAB(本来のタイプ) | × 2 | テラスタルしたポケモンが、本来のタイプと一致する技を使用 |
| 効果ばつぐん | × 2 | タイプ相性表で×2の相性 |
| 効果ばつぐん × 2 | × 4 | 複合タイプ防御側の両方が弱点、×4が上限 |
| いまひとつ | × 0.5 | タイプ相性表で×0.5の相性 |
| 二重いまひとつ | × 0.25 | 複合タイプ防御側の両方が耐性 |
| 無効 | × 0 | タイプ相性表で片方でも×0 |
| 急所 | × 1.5(Gen 6+) / × 2(Gen 6以前) | ランダム、基本率1/24(Gen 7+) |
| 晴れによる炎ブースト/晴れによる水ナーフ | × 1.5 / × 0.5 | 晴れの天候が有効 |
| 雨による水ブースト/雨による炎ナーフ | × 1.5 / × 0.5 | 雨の天候が有効 |
| 砂による岩のSpDブースト | × 1.5 | 砂が有効+岩タイプ防御側(防御ブースト) |
| 雪による氷のDefブースト | × 1.5 | 雪が有効+氷タイプ防御側(Gen 9+のみ) |
| 範囲(スプレッド) | × 0.75 | 多対象技(ダブルスのみ)が両方の相手に命中 |
| やけど | × 0.5 | 攻撃側がやけど状態+物理技使用(こんじょう以外) |
| リフレクター(物理) | × 0.5 シングル、× 0.667 ダブル | リフレクター+物理技 |
| ひかりのかべ(特殊) | × 0.5 シングル、× 0.667 ダブル | ひかりのかべ+特殊技 |
| オーロラベール | × 0.5 シングル、× 0.667 ダブル | オーロラベール+ダメージ技全般 |
| 乱数(ランダム) | × 0.85 – × 1.00 | 攻撃ごとのランダム倍率 |
特性固有の補正
一部の特性は、標準テーブルに加えて追加のダメージ補正を適用する。例:
- Sheer Force、副次効果のある技は+30%ダメージ。副次効果は抑制される。
- Tough Claws、接触技は+30%ダメージ。
- Strong Jaw、噛みつき技は+50%ダメージ。
- Iron Fist、パンチ技は+20%ダメージ。
- Reckless、反動技は+20%ダメージ。
- Sand Force、砂下では岩/地面/鋼技が+30%ダメージ。
- Solar Power、晴れ下では特殊技が+50%ダメージ(毎ターン1/8 HPコスト)。
- Pixilate / Aerilate / Refrigerate、ノーマル技はタイプが変わって+20%ダメージ。
- Protosynthesis / Quark Drive、発動条件下で最高ステータスが30%ブースト(Speedの場合は50%)。
ダメージ乱数
ダメージ技はすべて、0.85〜1.00(両端含む)のランダム倍率を適用する。結果は1回の攻撃あたり最大15%の幅となり、プレイヤーがダメージ計算で読み取る「乱数(rolls)」が生まれる。
0.85×
最低乱数
最悪ケースのダメージ倍率
1.00×
最高乱数
最良ケースのダメージ倍率
16
値の個数
0.85, 0.86, ..., 1.00、一様分布
0.925×
平均
多数の乱数にわたる期待値
16通りの乱数は一様分布で、各値の確率は1/16(6.25%)。ダメージ計算機の「81% – 96% damage」のような表示では、下限が0.85の乱数、上限が1.00の乱数。
「always OHKO」の意味
急所
急所はGen 6以降ダメージを1.5倍にする(それ以前のgenの2倍から減少)。基本急所率はGen 7以降1/24(≈4.17%)。Gen 2〜6では1/16(6.25%)だった。
急所率ステージ
急所はステージ制を使う。各補正がuserの急所ステージに加算され、ステージが率を決める。
| 急所ステージ | 率(Gen 7+) | 率(Gen 2〜6) |
|---|---|---|
| ステージ0(デフォルト) | 1/24(≈4.17%) | 1/16(6.25%) |
| ステージ1(+1) | 1/8(12.5%) | 1/8(12.5%) |
| ステージ2(+2) | 1/2(50%) | 1/4(25%) |
| ステージ3(+3) | 必ず急所(100%) | 1/3(≈33%) |
| ステージ4(+4) | 必ず急所 | 必ず急所 |
急所を変動させるソース
- +1(技から)、急所に当たりやすい技(Slash、Crabhammer、Razor Leaf、Stone Edgeなど)。
- +1(特性から)、Super Luck をuserが持つ。
- +1(持ち物から)、
Razor Claw または
Scope Lens をuserが所持。 - +2(セットアップ技から)、Focus Energy は急所ステージを2上げる。
- 必ず急所技、Wicked Blow、Surging Strikes、Frost Breath、Storm Throw はステージに関係なく必ず急所になる。
- 急所防止特性、Battle Armor と Shell Armor は持ち主が急所を受けないようにする。
急所は攻撃側のステータス下降と防御側のステータス上昇を無視する
ダブルスのスプレッド技
多対象技(スプレッド技)はダブルスフォーマットで複数のポケモンに同時にヒットする。各ヒットは単体対象ダメージ値の75%に減少する。
代表的なスプレッド技:Earthquake、Heat Wave、Surf、Discharge、Make It Rain、Astral Barrage、Glacial Lance、Blizzard、Hyper Voice(Pixilate/Refrigerate併用)、Rock Slide。
単体対象 vs スプレッドの計算
- 単体対象技、1体に満タンダメージ。75%補正なし。
- スプレッド技(ダブルス)、最大2体の相手それぞれに75%ダメージ。両方の対象が存在する場合、合計ダメージは100%以上になる。
- スプレッド技が1体のみを対象、相手のポケモンが場に1体しかいない場合(例:片方が瀕死)、単独でヒットしても技はその1体に75%ダメージを与える。これはダブルス特有の挙動。
味方への無効
スプレッド技はuserの味方にもヒットする。ただし味方がタイプや特性で無効化していれば別。じしんは両方の相手AND userの味方にヒットする。ただし味方がLevitate、飛行タイプ、Air Balloonなどの地面無効を持っていない場合に限る。これはダブルスのチームビルディングで最も一般的な検討事項のひとつ。
gen間の差異
ダメージ計算式はGen 5以降ほぼ安定しており、変更は特定の倍率に限定されている。
| Gen | 急所ダメージ | 急所率(基本) | やけどDoT |
|---|---|---|---|
| Gen 1(RBY) | × 2 | Speed連動(1/512 × Speed種族値) | 毎ターン最大HPの1/16 |
| Gen 2(GSC) | × 2 | 1/16(固定) | 毎ターン最大HPの1/8 |
| Gen 3(ADV) | × 2 | 1/16 | 1/8 |
| Gen 4(DPP) | × 2 | 1/16 | 1/8 |
| Gen 5(BW) | × 2 | 1/16 | 1/8 |
| Gen 6(XY) | × 1.5 | 1/16 | 1/8 |
| Gen 7+(SM/SS/SV/Champions) | × 1.5 | 1/24 | 1/16 |
Gen 7の変更(急所率1/24、やけどDoT 1/16)は、まひのSpeed変更(-75%から-50%へ)と同時に行われた。累積的な効果として、Gen 7の状態異常はGen 7以前のバージョンよりも弱体化している。
計算例
現実的なシナリオで計算式をたどる3つの例。
例1:Choice Specs ラティオスのDraco MeteorをHeatranに
セットアップ: ラティオス(Choice Specs、SpA最大、+0ステージ)が Draco Meteor(130 BP、特殊、ドラゴン)を、Heatran(HP最大、+0 SpD、中性性格)に使用。
- 計算式によるベースダメージ:ステータス比から~88。
- STAB:× 1.5(ラティオスはドラゴンタイプ)→ 132。
- タイプ相性:ドラゴン vs 鋼/炎 = × 0.5(いまひとつ)→ 66。
- Choice Specs:× 1.5 → 99。
- 乱数:× 0.85〜× 1.00 → 最終ダメージ84-99。
- Heatranの最大HPは415。この一撃で~20-24%、完璧な乱数で5発KO。
例2:RBY OUの急所Tauros Body Slam
セットアップ: Tauros(RBY、110 Speed = 急所率~21%、Atk最大)が Body Slam(85 BP、物理、ノーマル)をSnorlaxに使用。急所が決まる。
- ベースダメージ:Taurosの攻撃力とSnorlaxの耐久を踏まえ、約90。
- STAB(ノーマルタイプのTaurosのノーマル技):× 1.5 → 135。
- タイプ相性:ノーマル vs ノーマル = × 1.0(等倍)。
- 急所(Gen 1ルール、× 2):270。
- 乱数:× 0.85〜× 1.0 → 最終230-270。
- Snorlax in RBY OUのHPは~520 → この一撃で~44-52%。
例3:VGCのスプレッドじしん
セットアップ: Choice Band Earthquake をダブルスの攻撃側から、地面×4弱点でLevitateなしの対象に使用。
- ベースダメージ:高い、100 BP物理+Choice Band × 1.5。
- STAB(user が地面タイプの場合):× 1.5。
- タイプ相性:× 4(×4弱点の対象)。
- スプレッド減衰:× 0.75(多対象)。
- 乱数:× 0.85〜× 1.0。
- 結果:典型的にOHKO。×4のタイプ有利がスプレッド減衰を補う。
よくある誤解
ダメージに関する誤った主張がいくつかある。訂正はエンジンの挙動に基づく。
- 「SpAが高ければ常にダメージも高い」、間違い。重要なのは攻撃/防御の比率。100 SpAの攻撃側 対 100 SpD防御側は、200 SpA 対 200 SpDと同じ計算結果になる。
- 「現代のgenでは急所ダメージは2倍」、間違い。急所ダメージはGen 6以降× 1.5。× 2倍率はGen 1〜5のみ適用された。
- 「やけどはダメージを全部半分にする」、間違い。やけどは物理Attackのみを半減する。特殊技は影響を受けない。Guts はやけどのAtk減少を無視する。
- 「スプレッド技は各相手に満タンダメージを与える」、間違い。スプレッド技はダブルスで75%のダメージを与える(単体対象技は100%)。75%の倍率は、相手が場に1体しかいない場合でも適用される。
- 「リフレクター/ひかりのかべは全フォーマットでダメージを半分にする」、ほぼ正しい。シングルではダメージを半減(× 0.5)、ダブルスでは約33%減(× 0.667)。オーロラベールも同じく動作する。
- 「ダメージ乱数は常に85-100%で一様」、正しい。乱数は16通りの値(0.85, 0.86, ..., 1.00)で一様分布。ダメージ計算機はこれを直接読み取る。
- 「Tera STAB = STAB二重」、部分的に正しい。テラスタイプが一致すると1.5倍STAB。技のタイプが本来のタイプにも一致する場合、ブーストは2倍まで上がる(てきおうりょく相当)。テラスタイプのみ一致(本来のタイプは一致しない)の技は1.5倍のまま。
次に読むべきページ
ダメージ計算式は複数のメカニクス層を組み合わせる。下のページは各層を個別にカバーする。
- タイプ相性表、タイプ相性表 はタイプ相性倍率を完全にカバーする。
- 状態異常、状態異常 はやけど(物理Atk -50%)やその他のDoT効果をカバーする。
- Speedメカニクス、Speed & Priority は技の発動順をカバーする。これがどちらの陣営のダメージが先に適用されるかを決める。
- 計算を実行、/calculator は@smogon/calcエンジンを使ってこの計算式とすべての補正を自動適用する。
- 用語集、上で使われている各用語は 対戦用語集 で定義されている。