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メカニクス、基礎読了14分
メカニクス、基礎リファレンス

ポケモンダメージ計算式、完全計算リファレンス

ダメージ計算式は、すべての攻撃がどう処理されるかを決める。威力と攻撃ステータスから、タイプ一致、タイプ相性、天候、特性、持ち物、急所、範囲、そしてランダムなダメージ乱数まで。このページは正典のリファレンス。

基本計算式

Gen 5+標準

乱数の幅

85% – 100%

STAB

1.5倍 / 2倍(てきおうりょく)

急所ダメージ

1.5倍(Gen 6+)

すべてのポケモンバトルはこの方程式で処理される。補正と適用順を暗記すれば、計算機と同じ精度でダメージを事前に予測できる。
ダメージ計算式について

概要

ダメージ計算式はGen 5以降ほぼ安定しており、genを跨いだ変更も数値の微調整のみ。構造的な形(ベースダメージ→補正の連鎖)は一貫している。

各補正は固定の順序で適用される。/calculator にあるPokékipeのダメージ計算機は正典の@smogon/calcエンジンを使う。このページはその裏にある計算式を文書化している。

  • 計算式の種類Gen 5以降標準。Gen 6(急所ダメージ)とGen 7(急所率)で微修正
  • ベース要素レベル、威力、攻撃ステータス、防御ステータス
  • 補正STAB、タイプ相性、天候、特性、持ち物、リフレクター系、急所、範囲、乱数
  • 乱数の幅85% – 100%含む(16通りの値)
  • 急所ダメージ1.5倍(Gen 6+)。Gen 1〜5では2倍
  • 急所率(基本)Gen 7+から1/24。Gen 2〜6では1/16

計算式

ポケモンダメージ計算式の標準形。各補正は、レベル・威力・攻撃/防御ステータスから算出されるベースダメージの上に適用される。

ベースダメージ

ベースダメージ =
⌊ ( ⌊ ( ( 2 × Level ÷ 5 ) + 2 ) × Base Power × ( Attack ÷ Defense ) ÷ 50 ⌋ + 2 ) ⌋

ここで:

  • Level、攻撃側のレベル(標準的な大会では50、一部のレガシーフォーマットでは100、リトルカップでは5)。
  • Base Power、技の威力(例:れいとうビームは80)。
  • Attack、攻撃側のAttackステータス(物理技)またはSpecial Attackステータス(特殊技)。
  • Defense、防御側のDefenseステータス(物理技)またはSpecial Defenseステータス(特殊技)。
  • ⌊x⌋、床関数(整数に切り下げ)。

最終ダメージ

最終ダメージ =
Base damage × Targets × Weather × Crit × Roll × STAB × Type × Burn × Other

各補正は順次適用され、各ステップで結果は整数に切り下げられる。エンジンの正確な処理順は決定的で、ランダム性は乱数補正(および急所判定)のみ。

順序が重要

補正はエンジンレベルで特定の順序で適用される。具体的には、STABはタイプ相性より前に適用され、タイプ相性はランダム乱数より前に適用され、やけどはSTAB+タイプの後に適用される。実用上はこの順序がほとんど結果に影響しない(同じ乱数内では乗算は可換)が、各ステップでのエンジンの整数切り下げには影響する。

全ダメージ補正

ダメージ計算式の各倍率は、ゲーム内の実際のメカニクスに対応する。下の表は標準的な補正をすべてカバーする。これに当てはまらないものはエッジケースか、特定の特性固有の補正。

補正発動条件
STAB(Same-Type Attack Bonus)× 1.5技のタイプが攻撃側のタイプと一致
てきおうりょく付きSTAB× 2てきおうりょく特性+タイプ一致
テラスタル後のSTAB(本来のタイプ)× 2テラスタルしたポケモンが、本来のタイプと一致する技を使用
効果ばつぐん× 2タイプ相性表で×2の相性
効果ばつぐん × 2× 4複合タイプ防御側の両方が弱点、×4が上限
いまひとつ× 0.5タイプ相性表で×0.5の相性
二重いまひとつ× 0.25複合タイプ防御側の両方が耐性
無効× 0タイプ相性表で片方でも×0
急所× 1.5(Gen 6+) / × 2(Gen 6以前)ランダム、基本率1/24(Gen 7+)
晴れによる炎ブースト/晴れによる水ナーフ× 1.5 / × 0.5晴れの天候が有効
雨による水ブースト/雨による炎ナーフ× 1.5 / × 0.5雨の天候が有効
砂による岩のSpDブースト× 1.5砂が有効+岩タイプ防御側(防御ブースト)
雪による氷のDefブースト× 1.5雪が有効+氷タイプ防御側(Gen 9+のみ)
範囲(スプレッド)× 0.75多対象技(ダブルスのみ)が両方の相手に命中
やけど× 0.5攻撃側がやけど状態+物理技使用(こんじょう以外)
リフレクター(物理)× 0.5 シングル、× 0.667 ダブルリフレクター+物理技
ひかりのかべ(特殊)× 0.5 シングル、× 0.667 ダブルひかりのかべ+特殊技
オーロラベール× 0.5 シングル、× 0.667 ダブルオーロラベール+ダメージ技全般
乱数(ランダム)× 0.85 – × 1.00攻撃ごとのランダム倍率

特性固有の補正

一部の特性は、標準テーブルに加えて追加のダメージ補正を適用する。例:

  • Sheer Force、副次効果のある技は+30%ダメージ。副次効果は抑制される。
  • Tough Claws、接触技は+30%ダメージ。
  • Strong Jaw、噛みつき技は+50%ダメージ。
  • Iron Fist、パンチ技は+20%ダメージ。
  • Reckless、反動技は+20%ダメージ。
  • Sand Force、砂下では岩/地面/鋼技が+30%ダメージ。
  • Solar Power、晴れ下では特殊技が+50%ダメージ(毎ターン1/8 HPコスト)。
  • Pixilate / Aerilate / Refrigerate、ノーマル技はタイプが変わって+20%ダメージ。
  • Protosynthesis / Quark Drive、発動条件下で最高ステータスが30%ブースト(Speedの場合は50%)。

ダメージ乱数

ダメージ技はすべて、0.85〜1.00(両端含む)のランダム倍率を適用する。結果は1回の攻撃あたり最大15%の幅となり、プレイヤーがダメージ計算で読み取る「乱数(rolls)」が生まれる。

0.85×

最低乱数

最悪ケースのダメージ倍率

1.00×

最高乱数

最良ケースのダメージ倍率

16

値の個数

0.85, 0.86, ..., 1.00、一様分布

0.925×

平均

多数の乱数にわたる期待値

16通りの乱数は一様分布で、各値の確率は1/16(6.25%)。ダメージ計算機の「81% – 96% damage」のような表示では、下限が0.85の乱数、上限が1.00の乱数。

「always OHKO」の意味

ダメージ計算機が「always OHKO」と表示するとき、最低乱数(0.85)でも100%以上のダメージが出ることを意味する。「X% chance to OHKO」の場合、16通りの乱数のうち正確にX%が100%以上のダメージを出す。ダメージ計算機はこの16乱数の確率バケットで考える。

急所

急所はGen 6以降ダメージを1.5倍にする(それ以前のgenの2倍から減少)。基本急所率はGen 7以降1/24(≈4.17%)。Gen 2〜6では1/16(6.25%)だった。

急所率ステージ

急所はステージ制を使う。各補正がuserの急所ステージに加算され、ステージが率を決める。

急所ステージ率(Gen 7+)率(Gen 2〜6)
ステージ0(デフォルト)1/24(≈4.17%)1/16(6.25%)
ステージ1(+1)1/8(12.5%)1/8(12.5%)
ステージ2(+2)1/2(50%)1/4(25%)
ステージ3(+3)必ず急所(100%)1/3(≈33%)
ステージ4(+4)必ず急所必ず急所

急所を変動させるソース

急所は攻撃側のステータス下降と防御側のステータス上昇を無視する

急所が決まると、エンジンは攻撃側に有利なステータス値のみを使ってダメージを再計算する。攻撃側のマイナスのステータス変化は無視され、防御側のプラスのステータス変化も無視される。防御ブースト(Calm Mind、Iron Defense)は急所に対して一切の保護を提供しない。

ダブルスのスプレッド技

多対象技(スプレッド技)はダブルスフォーマットで複数のポケモンに同時にヒットする。各ヒットは単体対象ダメージ値の75%に減少する。

代表的なスプレッド技:EarthquakeHeat WaveSurfDischargeMake It RainAstral BarrageGlacial LanceBlizzardHyper Voice(Pixilate/Refrigerate併用)、Rock Slide

単体対象 vs スプレッドの計算

  • 単体対象技、1体に満タンダメージ。75%補正なし。
  • スプレッド技(ダブルス)、最大2体の相手それぞれに75%ダメージ。両方の対象が存在する場合、合計ダメージは100%以上になる。
  • スプレッド技が1体のみを対象、相手のポケモンが場に1体しかいない場合(例:片方が瀕死)、単独でヒットしても技はその1体に75%ダメージを与える。これはダブルス特有の挙動。

味方への無効

スプレッド技はuserの味方にもヒットする。ただし味方がタイプや特性で無効化していれば別。じしんは両方の相手AND userの味方にヒットする。ただし味方がLevitate、飛行タイプ、Air Balloonなどの地面無効を持っていない場合に限る。これはダブルスのチームビルディングで最も一般的な検討事項のひとつ。

gen間の差異

ダメージ計算式はGen 5以降ほぼ安定しており、変更は特定の倍率に限定されている。

Gen急所ダメージ急所率(基本)やけどDoT
Gen 1(RBY)× 2Speed連動(1/512 × Speed種族値)毎ターン最大HPの1/16
Gen 2(GSC)× 21/16(固定)毎ターン最大HPの1/8
Gen 3(ADV)× 21/161/8
Gen 4(DPP)× 21/161/8
Gen 5(BW)× 21/161/8
Gen 6(XY)× 1.51/161/8
Gen 7+(SM/SS/SV/Champions)× 1.51/241/16

Gen 7の変更(急所率1/24、やけどDoT 1/16)は、まひのSpeed変更(-75%から-50%へ)と同時に行われた。累積的な効果として、Gen 7の状態異常はGen 7以前のバージョンよりも弱体化している。

計算例

現実的なシナリオで計算式をたどる3つの例。

例1:Choice Specs ラティオスのDraco MeteorをHeatranに

セットアップ: ラティオス(Choice Specs、SpA最大、+0ステージ)が Draco Meteor(130 BP、特殊、ドラゴン)を、Heatran(HP最大、+0 SpD、中性性格)に使用。

  • 計算式によるベースダメージ:ステータス比から~88。
  • STAB:× 1.5(ラティオスはドラゴンタイプ)→ 132。
  • タイプ相性:ドラゴン vs 鋼/炎 = × 0.5(いまひとつ)→ 66。
  • Choice Specs:× 1.5 → 99。
  • 乱数:× 0.85〜× 1.00 → 最終ダメージ84-99。
  • Heatranの最大HPは415。この一撃で~20-24%、完璧な乱数で5発KO。

例2:RBY OUの急所Tauros Body Slam

セットアップ: Tauros(RBY、110 Speed = 急所率~21%、Atk最大)が Body Slam(85 BP、物理、ノーマル)をSnorlaxに使用。急所が決まる。

  • ベースダメージ:Taurosの攻撃力とSnorlaxの耐久を踏まえ、約90。
  • STAB(ノーマルタイプのTaurosのノーマル技):× 1.5 → 135。
  • タイプ相性:ノーマル vs ノーマル = × 1.0(等倍)。
  • 急所(Gen 1ルール、× 2):270。
  • 乱数:× 0.85〜× 1.0 → 最終230-270。
  • Snorlax in RBY OUのHPは~520 → この一撃で~44-52%。

例3:VGCのスプレッドじしん

セットアップ: Choice Band Earthquake をダブルスの攻撃側から、地面×4弱点でLevitateなしの対象に使用。

  • ベースダメージ:高い、100 BP物理+Choice Band × 1.5。
  • STAB(user が地面タイプの場合):× 1.5。
  • タイプ相性:× 4(×4弱点の対象)。
  • スプレッド減衰:× 0.75(多対象)。
  • 乱数:× 0.85〜× 1.0。
  • 結果:典型的にOHKO。×4のタイプ有利がスプレッド減衰を補う。

よくある誤解

ダメージに関する誤った主張がいくつかある。訂正はエンジンの挙動に基づく。

  • 「SpAが高ければ常にダメージも高い」、間違い。重要なのは攻撃/防御の比率。100 SpAの攻撃側 対 100 SpD防御側は、200 SpA 対 200 SpDと同じ計算結果になる。
  • 「現代のgenでは急所ダメージは2倍」、間違い。急所ダメージはGen 6以降× 1.5。× 2倍率はGen 1〜5のみ適用された。
  • 「やけどはダメージを全部半分にする」、間違い。やけどは物理Attackのみを半減する。特殊技は影響を受けない。Guts はやけどのAtk減少を無視する。
  • 「スプレッド技は各相手に満タンダメージを与える」、間違い。スプレッド技はダブルスで75%のダメージを与える(単体対象技は100%)。75%の倍率は、相手が場に1体しかいない場合でも適用される。
  • 「リフレクター/ひかりのかべは全フォーマットでダメージを半分にする」、ほぼ正しい。シングルではダメージを半減(× 0.5)、ダブルスでは約33%減(× 0.667)。オーロラベールも同じく動作する。
  • 「ダメージ乱数は常に85-100%で一様」、正しい。乱数は16通りの値(0.85, 0.86, ..., 1.00)で一様分布。ダメージ計算機はこれを直接読み取る。
  • 「Tera STAB = STAB二重」、部分的に正しい。テラスタイプが一致すると1.5倍STAB。技のタイプが本来のタイプにも一致する場合、ブーストは2倍まで上がる(てきおうりょく相当)。テラスタイプのみ一致(本来のタイプは一致しない)の技は1.5倍のまま。

次に読むべきページ

ダメージ計算式は複数のメカニクス層を組み合わせる。下のページは各層を個別にカバーする。

  • タイプ相性表タイプ相性表 はタイプ相性倍率を完全にカバーする。
  • 状態異常状態異常 はやけど(物理Atk -50%)やその他のDoT効果をカバーする。
  • SpeedメカニクスSpeed & Priority は技の発動順をカバーする。これがどちらの陣営のダメージが先に適用されるかを決める。
  • 計算を実行/calculator は@smogon/calcエンジンを使ってこの計算式とすべての補正を自動適用する。
  • 用語集、上で使われている各用語は 対戦用語集 で定義されている。